参拝の一般的な作法のほかにも、神社参拝では「これってどうなのかな?」というようなこまごまとした疑問が生じやすいものです。
このページでは、神社参拝に関連するややこまかい(しかし気にされる方の多い)知識についてまとめてみました。
もくじ
1. 複数の神社にお参りするときの順番は?
お正月などは、複数の神社にお参りするという方は少なくないと思います。
このような場合には、参拝の順序はどうすればよいのでしょうか。
複数の神社にお参りされる場合には、まず最初に現在お住まいの地域を管轄する氏神さんにお参りしましょう。
現在起居している地域は、あなたの人生にとって非常に縁が深く、重要な場所です。
なににつけても、まずその場所を守っておられる大神さまにごあいさつする姿勢が大切です。
神社参拝の日程のはじめに氏神さんへの訪問を組み入れ、その後に(順に)規模の大きな神社へと参拝することをおすすめします。
※ 参拝の順序の一例… 氏神さん→崇敬している神社→地域の一の宮など
2. 鳥居の上やしめ縄に小銭を投げつけてはいけない
鳥居の上に小銭が乗せられていたり、大きなしめ縄(注連縄)に小銭が刺さっているのをみかけたことはありませんか?
巷では、鳥居の上にお賽銭を投げて乗っかったら縁起がよいとか、注連縄にお賽銭を投げて突き刺さったら願いごとが叶うなどとまことしやかに流布されています。
しかし、これらはとんでもない間違いです。
鳥居もしめ縄も、古くから重要な意味をもって神社に設置されてきたきわめて神聖なもの。
今でも、それを守るために多くの人々が努力しておられるのです。
ですから、小銭を投げつけて傷つけたり清掃の手間を増やすようなことは決して許されません。
それらが御祭神に対して非常に不敬な行いであることを知ってください。
3. 古い御札やお守りをお返しするには?
神社で受けた(いただいた)御札やお守りは、おおむね1年経ったところで神社にお返しします。
古い御札・お守りを神社に返す際には、白い紙で包むか紙袋などに入れて、失礼のないよう丁寧に神社の古札置き場まで持ち運びましょう(白い紙などがない場合には新聞紙等でもよいです)。
神社の古札置き場に「包装紙を持ち帰るように」との指示があれば、その場で御札やお守りを取り出して中身だけを納め、包装紙等は持ち帰って処分しましょう。
なお、神社が古い御札等を処分する際にはさまざまな費用がかかります。お気持ち程度で構いませんので、感謝の気持ちとしてお賽銭を出すようにしましょう。
4. 新しい御札を受けるタイミングは?
年末年始などには新しい御札(おふだ)を受けられる方が多いですね。
新しい御札を受ける(いただく)のは、参拝の前後のどちらがよいのでしょうか。
その答えは、まず参拝、そのあとで御札を受ける、です。
まずは御神前での参拝をしっかりと済ませることをおすすめします。
もっとも、知足さんによりますと、御札を受けたあとは、御札を授与されたことの感謝を御祭神に捧げてから持ち帰るとなおよいとのことなので、参拝を済ませてから御札を受けて再度拝殿に立ち寄るとよいでしょう。
※ 混雑時には無理に拝殿に戻る必要はありません。御札を受けた後、御本殿に向かって心の中で感謝の気持ちを申し述べれば十分です。
御札を受けるときには、お礼・お供えとして初穂料(はつほりょう)を納めます。
年末年始は、御神札を求める多くの人で社務所や授与所が混雑することもあります。お釣りのいらないようにあらかじめ千円札と細かい硬貨を用意しておかれることをおすすめします。
※ 年始の初詣のときに新しい御札を受ける方が多いのですが、わたしは毎年末に古札をお返しして新しい御札(御神札…神宮大麻(じんぐうたいま)と各神社の御札)をいただいてきます。小さな神社などでは、年末に神職さんが常駐しておられないこともあります。
5. お守りなどの授与品や御朱印を受けるタイミングは?
神社参拝の折に、お守り、破魔矢、おみくじなどの授与品や御朱印を受けられる方も多いですね。
では、授与品などを受けるタイミングは、参拝の前後ではどちらが適切でしょうか。
この場合も御神札(御札)と同じです。
まずは御神前への参拝を済ませ、その後で授与品を受けましょう。
※ もっとも、参拝客の数や流れから見て参拝の前に受けた方が良い場合もありますし、団体で参拝される場合などで参拝前に授与品を受けることがあらかじめ決められている場合もあります。
授与品を受ける場合にも初穂料を納めますので、御札の場合と同様にあらかじめ釣り銭のいらないように硬貨等の準備をしておくことをおすすめします。
6. 引いたあとのおみくじはどうすればいいの?
神社参拝のときの楽しみのひとつがおみくじではないでしょうか。
このおみくじ、引いたあとはどうしようかと悩んだことはありませんか?
よく境内の木の枝におみくじが結び付けられているのを見かけます。
しかし、これは間違いです。
おみくじは、その内容があなたにとって良く思えてもそうではなくても、持ち帰るのが正解です。
知足さんは、あなたがその一枚を引き当てたのは、偶然ではなく、必然です、といいます。
できるだけ清浄な場所にしまっておいて、ときどき取り出して眺めてみましょう。
引いたそのときには理解できないような和歌や文章かもしれませんが、いつか役立つときがくるかもしれません。
古いおみくじは、次のおみくじを引くときに神社へ持参し、古札入れに納めましょう。
7. 摂社・末社やお稲荷さんのお社はお参りすべき?
神社の境内には、拝殿と本殿のほかにも、小さなお社(やしろ)がいくつかあるのが通常です。
これらのお社には、摂社(せっしゃ/御祭神とその土地に関わりの深い神さまが祀られていることが多い)と末社(まっしゃ/摂社に祀られる神さま以外の神さまを祀ることが多い)、また、お稲荷さん(いなり/五穀などの食物を司る神さまを祀る社。きつねをお使いとする。商売の神さまとしても信仰されています)などがあります。
ここは考え方にもよってもわかれるところではありますが、わたしは、基本的にはその神社の御祭神、つまり、御本殿に祀られている大神さまだけを参拝します。
その主な理由としては、
- 主要な御祭神(主祭神)はその神社のすべてを代表しておられるため、主祭神への参拝が最も重要であること
- 摂社・末社に祀られる神々はその由緒・由来が不明であることがあり、信仰対象としての適格性が判断できない場合があること
- お稲荷さんはとてもクセの強い神さまであること(わたしの感覚では、お稲荷さんに対する信仰は決して素人向けのものではありません)
といったものがあげられます。
ですので、有名な摂社などの場合にはお参りすることもあります。
たとえば、わたしは、出雲大社に参拝するときには欠かさず摂社である素鵞社(そがのやしろ)にもお参りします(知足さんから「出雲大社を参拝するときには必ず素鵞社に立ち寄るように」といわれています。大社の御本殿とは雰囲気が違い、参拝すると大変清々しく心身がキリリと引き締まるお社です)。
とても主観的なところでもあり、正解というものはないのかもしれません。
あくまで考え方のひとつとして見ていただければと思います。
8. 参拝当日に正式参拝を申込んでもいいの?
ほとんどの神社では、当日の正式参拝(昇殿参拝/拝殿の中でご祈祷やご祈念を受けること)の申し込みを受付けているはずです。
ただし、正式参拝の申込みがすでに一杯となっている場合や、神社の都合でその日の正式参拝の受付ができないということもありえます。
できれば、事前に正式参拝の日時と内容を告げて予約されることをおすすめします。
9. 身内に不幸があったときの神社参拝は?
身内に不幸があった場合には、神社参拝をしてもよいのでしょうか。
結論からいいますと、身内が亡くなった日から3日~50日の間のことを「忌中」(きちゅう)といい、神社参拝をはじめとするすべての神事をはじめ、お正月や結婚式などのお祝いごとは控えなければなりません。
その理由としては、
- 忌中の期間は、故人(亡くなった方)の霊(魂)の冥福を祈りながら心静かに過ごすのが日本の伝統的慣習であること
- 「死」は伝統的に「穢れ」とされており、神聖な御神前に穢れを持ち込むことは許されないこと
があげられます。
また、知足さんは、「神社(御神前)とは、本来の自分自身と深く向き合うための場所」であり、「悲しみや怒りなどの感情に支配された状態で出かけるとそれらの面が増幅する」といいます。
神道においては、忌中の日数を
父母・配偶者が亡くなった場合 | 50日間 |
祖父母が亡くなった場合 | 30日間 |
きょうだい・子・おじおばが亡くなった場合 | 20日間 |
孫が亡くなった場合 | 10日間 |
いとこ・おいめいが亡くなった場合 | 3日間 |
とするのが一般的です。
なお、「忌中」と間違われやすい概念が「喪中」(もちゅう)です。
喪中とは、身内が亡くなってからおおむね1年間の期間であり、故人の霊(魂)の冥福を祈りつつ、自分自身も通常の生活へともどっていく期間をいいます。
喪中期間は、特別に派手な祝い事などは慎みますが、先に説明した忌中の期間を過ぎてさえいれば神社をお参りすることには何ら問題はありません。
10. 動物を連れて神社にお参りしてもいいの?
ペットは大切な家族です。
わたしの家にも犬がいますので、神社にペットを連れていき、一緒に神さまのご利益をいただけたら…という気持ちはとてもよくわかります。
では、動物を神社参拝に連れて行ってもよいのでしょうか。
結論から言いますと、残念ながらほとんどの神社では動物を連れての参拝はご法度です。
なぜかというと、神社は穢れとは相容れない神聖な場所であるところ、神道では古くから動物は穢れとみなされ、境内への帯同が禁じられてきたという経緯があるためです。
また、参拝客の中には犬などの動物に慣れていない方がおられることもあり、神さまに対する心のこもった拝礼を妨害する可能性があることもその理由です。
そういうわけで、現代でも、特別に許された動物以外は神社に入ることができません。
ですが、知足さんは、あなたが御神前で授かった御神気(エネルギー)は、磁力に似たものであり、あなたがそれを帯びて帰宅することで家人や家畜にも行き渡る、といっています。
また、全国の神社の中にはペット連れでのお参りを認めており、さらにペットのためのご祈念やお祓いをしてもらえるところもあるようです。
参考になるサイト:イヌー!ジャパン様
ぜひ参考になさってください。
神社参拝(一般参拝)の作法をまとめました。