あなたにはイライラしてどうしようもないときがありますか?
わたしはあります。
仕事が立て込んで心の余裕がなくなったときなどは特にイライラしやすくなります。
仕事でもプライベートでも、突発的に現れてはわたしたちを散々に振り回して去っていくイライラ。
知足さんは、われわれが持つさまざまな感情の中でも、「怒り」はもっとも良くない感情だといいます。
そして、知足さんによれば、「イライラ」「怒り」をコントロールするよい方法は、「怒りに気づくこと」と「離れること」だというのです。
もくじ
わたしのイライラ日記
今日、わたしはとてもイライラしていました。
毎年12月というのは仕事の忙しさがピークに達することもあり、思いがけないところにイライラの火種がくすぶっているものです。
わたしは現在接客関係の仕事をしているのですが、今日はいわゆる「モンスタークレーマー」に当てはまるであろうお客さんに長時間対応することになり、こちらの言い分には一切耳を傾けていただけない状況の中で孤軍奮闘していました。
師走ともなると、お客さんのほうも気ぜわしくてイライラされがちです。
しかし、わたしのイライラはそのお客さんによってではなく、顧客対応後のとある同僚の言動によって引き起こされました。
原因は些細なことであったかもしれませんが、顧客対応後の精神的疲労もあり、わたしのイライラメーターはあっという間にレッドゾーンへと到達してしまいました。
「もうガマンできない!今日こそははっきり言うぞ!」
もうガマンの限界だと思ったまさにそのとき、知足さんから2回続けて「さがって(「離れて」の意味)」という指示が出されました。
これは、
「離れる」=「現在の問題状況をいったん棚上げして、特定の対象に向けられている感情的な執着を解放する」
という意味で、緊急回避行動のようなイメージでとらえていただけるとわかりやすいと思います。
そこで、わたしは目の前の問題状況をいったん棚上げし、とりあえず「離れる」ことに決めました。
こうすると、不思議なことに怒りの感情がすぅ~っと鎮まるのです。
その後、再び知足さんが現れて、
あなたは感情を働かせすぎです。
感情を働かせすぎるから疲れるのです。
年内は、腹を立ててはいけません。
そのためには、いちいち感情を動かさないことです。
つまらぬことでいちいち感情を刺激していては、一体なにが自分にとっての真実なのかがわからなくなります。
といわれました。
怒りの感情(イライラ)は一番良くない
知足さんは次のようにいっています。
感情の中でも「怒り」はもっとも良くありません。
しばしばそれはすべてを破壊します。
怒りの感情が、その場にいる怒れる魂との縁を結び、それらがあなたに作用することを許してしまうからです。
あなたがこれをどう受け止められるかはわかりませんが、知足さんのいう「怒っている魂」というのは、主に亡くなってからも怒り続けている不成仏の霊を意味しています。
また、「作用することを許す」とは、憑依(ひょうい)、つまり、その場にいる怒っている霊に取り憑かれた状態になり、思考や感情を支配されてしまうという意味です。
こう書くとなんだかおどろおどろしく感じますね。
ですが、知足さんによると、この場合の「憑依」とは、誰にでも日常的に起こりうる現象なのであって、その影響はごく短時間の限定的なものにとどまる場合が多いようです。
人によってこの説示の受け取り方はさまざまだとは思いますが、わたしとしては、怒りの感情はまわりにある怒りのエネルギーを呼び集めて肥大化し、様々なトラブルを引き起こしてわたしたちの生活を破壊しかねないほど危険なものなのだ、と理解するにとどめております。
怒りの感情(イライラ)をコントロールする方法
知足さんは、怒りの感情をコントロールして鎮めるための方法を次のように伝えています。
1 怒りに気づくこと
2 その状態から離れること
3 深呼吸をすること
では、ひとつずつ説明します。
怒りの感情に気づく
まず、自分自信が「怒り」の感情に支配されかけている(あるいは支配されている)という事実に気づくことが大切とのことです。
いいかえると、イライラの原因である「特定の対象」に対する「執着」が生じていることを認める作業です(知足さんは、「怒り」=「執着」であるといっています)。
これによって、ほんのわずかの間ではありますが、わたしたちは自分が置かれている客観的な状況を知るための大きな手がかりを手に入れることができます。
離れる
自分が怒りの感情をもっているという事実(=怒りの原因に執着している事実)に気づいたら、できるだけ早くその状況から離脱しなければなりません。
知足さんは、そのことをさして「離れる」といっています。
離脱するとはいっても、怒りの対象から物理的に退避するという意味ではありません。
「離れる」とは、怒りの対象(原因)に異常接近してガチガチに緊張してしまっている自分の「心」をいったん遠くに引き離して保護するという意味です。
これを文章で説明するのは難しいのですが、
わたしの場合ですと、自分自身の後ろに立って自分の背中を眺めるような状態を心の中で思い描くか、自分の体から抜け出して頭上から自分を含む周囲の景色を眺めるような状態を心の中で思い描くようにすると、スムーズに離脱できるように感じます。
別の言い方をすると、自分自身が置かれている状況を、あたかも美術館で名画を眺めるときのように少々引いたところから客観的に眺める感覚にとても似ています。
このような意識状態を意図的に作ることは難しいかもしれません。
しかし、その場合には、単にイメージしてみるだけでも効果があるとのことです。
「離れる」ことによって、自分自身が怒りの感情に支配されているときには極端に狭く絞り込まれていた心理的な視野が、自分と怒りの対象を含めた広い範囲にまで拡大します。
すると、怒りの対象のただ一点へと向けられていた心がいったん解放されて、怒りによる心身の消耗を食い止めることができるのだといいます。
深い呼吸
イライラ・怒りの感情に気づき、その対象から離れて心を保護したら、イライラ・怒りに引きずられることなくあなた自身のあるべき道を進むために、心身の調和を取り戻しましょう。
知足さんは、そのためには深呼吸が大切で、大きな効果があるといいます。
呼吸の方法は、息を深く吸い、5秒~10秒程度息を止め、8秒~20秒程度かけて息を吐ききるとよく、心身の調和が整った(心と体のバランスがとれた)と自分で感じるまで繰り返すとよいとのことです。
※ 初めは短い時間から練習されることをおすすめします。特に、吸った状態で呼吸を止めると血圧が上昇したり心肺機能に負担がかかることがありますので、高齢の方や循環器系の疾患をお持ちの方などは決して無理をせず、心地よく感じられる範囲内で取り組んでみていただければと思います。
※ ちなみにわたしは深呼吸が苦手でしたが、腹式呼吸の練習を続けるうちに、吸気(吸う)10秒、呼気(吐く)20秒、1分間に2呼吸というところまではなんとかたどりつきました。
「イライラ」「怒り」そのものに焦点を当ててはいけない
知足さんは、イライラするときに、「怒り」をなんとかしようとしてはいけない、といいます。
イライラをなんとかしようとして「怒り」の感情に意識を向けてしまうと、ますます「怒り」という状態に力を与えてしまうというのです。
まさに「火に油を注ぐ」という状況でしょうか。
この場合には、まず速やかに心の保護を図ったうえで、その状況は自分自身が選んで作り出したものであると認めることが大切だといいます(つまり、心身を守りながらも、その原因が自分にもあるという事実を受け入れるということ)。
そして、このように望ましくない状況を生み出した最大の原因は「自分がすでに十分に満ち足りた存在であるという事実を理解できていない」ところにあり、それをしっかりと認識することがなによりも大切、といいます。
つまり、知足さんは、「不足の心」が怒り・イライラなどの望まぬ状況を生み出す元凶だというのです。
ここのところは少々難しいはなしですので、後日稿をあらためてお伝えしたいと考えています。
また、冒頭の「イライラ日記」の項で書いた知足さんの教示のうち、
「いちいち感情を動かさないことです。
つまらぬことでいちいち感情を刺激していては、一体なにが自分にとっての真実なのかがわからなくなります」
という部分ですが、これも感情コントロールのエッセンスともいうべきとても重要なところですので、これについてもやはり稿をあらためてお伝えしようと思います。
あなたもやってみませんか
年末にかけてイライラする機会が増えていってはいませんか?
知足さんに長年教わっておりながら、この年末、わたしはまだまだ怒りに振り回されています。
この記事が、あなたが平成最後の12月を心穏やかに完走されるためのなんらかの支えになれば、わたしは(きっと知足さんも)最高に幸せです。
お互いによい年末を過ごしましょう!