参道を抜けると、神さまのお鎮まりになる社殿は目の前です。
御神前に進む前に、まず手水舎(ちょうずや/てみずや)で日常の穢れを祓い清めましょう。
1. 手水舎での作法
手水舎では、ひしゃく一杯分の手水(ちょうず/てみず)を大切に使って手と口を清めます。
具体的な手順は次のようになります。
- 手水舎に入る前に手水舎そのものに軽く一礼する
- 用意されているひしゃくを取り、右手で柄の部分を持つ
- ひしゃくで手水をすくいとる
- 手水の5分の1程度の量を左手にかけて清める
- 右手で持っていたひしゃくの柄を左手に持ち替える
- 手水の5分の1程度の量を右手にかけて清める
- 左手で持っていたひしゃくの柄を再度右手に持ち替える
- 左手の手のひらを丸めて手水の5分の1程度を受け取る(手のひらにためる)
- 左手にためた手水を口にふくんで口を清め、静かに吐き出す(ひしゃくに直接口をつけてはいけません)
- 手水の5分の1程度を左手にかけて再度清める
- 残りの手水が上にくるようにひしゃくの柄を立てて傾け、残った手水の全量を柄にしたたらせてひしゃくの柄を清める
- ひしゃくを静かに元の位置に戻す
- 手水舎に軽く一礼する
- きれいなハンカチなどで手をふく
文字で書き表すと大変複雑な所作のように見えますが、慣れると簡単です。
要は、最初にくんだ一杯のお水をうまく使って、①左手→②右手→③口→④左手→⑤ひしゃくの柄の順番で洗い清めるわけです。
※ ふだんは左利きの方も、できれば右手でひしゃくの柄を持つところからはじめられることをおすすめします。
※ 手が不自由な方はこのとおりにされなくても大丈夫です。知足さんは「大神さまに対する敬意と感謝の心を持つ限り、手水に触れるだけでも清められる」といっています。
※ 手水舎にためられている水に水流がなく澱んでいる場合(節水のため普段は水が止められていることがあります)は、水道の栓を開けて蛇口から直接ひしゃくに手水を受けても構いません。
※ 手水舎の手水が汚れていたり何らかの異常が見られる場合や、手水が空になっている場合、また、そもそも神社に手水舎自体が設置されていないということもあります。このようなときは手水を使ったお清めはあきらめましょう。
初詣に!記念日に!神社参拝の作法まるわかりガイド〈事前準備編〉でもご案内しておりますように、出発前のお清めをあらかじめ入念に行っておかれると安心です。
2. お清めのルーツは神話にあり
手水舎でのお清めの順番は、左→右→口→左となっています。
実は、これは古事記の伝える伊邪那岐大神(いざなぎのおおかみ)の禊(みそぎ)の様子に倣ったものなのです。
伊邪那岐大神は、穢れを祓い清めるため、水でまず①左目を洗い、次に②右目を洗い、最後に③鼻を洗ったと伝えられています。
日本神道では、この故事にならい、古くから左→右→左(③鼻を洗う故事も左に含めている)という祓い清めの所作を確立し大切にしてきました。
その影響から、手水舎でのお清めも、左手→右手(→口)→左手となっているわけですね。
※ 日本には古くから「左右左(さゆうさ)」という概念があります。これも神話の故事との間になんらかの関わりがあるように思われます。
※ 知足さんは、左右左の禊のパターンを「さうさのならい」ということばで表現しています。左右左は日常生活の中でのちょっとした祓い清めにも応用することができるのだそうです。
神社参拝(一般参拝)の作法をまとめました。